GO(01年)

監督 行定勲
主演 窪塚洋介、柴咲コウ、山崎努


原作は金城一紀。しかしホントに金城さんの小説は映画になったとき映えるよなー。

「これは、ボクの恋愛に関する話だ。」
このセリフから始まる、確かに純粋な恋愛の話だ。
一見して、在日問題を取り上げた話に思われるんだけど、やっぱり違う。これはホントに二人の若者の恋愛の話だった。
二人の間にあるのは国籍と言う名の壁。それだけ。でもそれがとてつもなく分厚かった。
杉原(窪塚)は、桜井(柴咲)のことを好きになればなるほど、嫌われるのが怖くなる。
だから自分が日本人じゃないことを言い出せなくなる。今までは差別されてもなんとも思わなかったのに、怖くなった。
いざ言おうとしても、なかなか言葉が出ない。そんな杉原を見てて心がすげー痛んだ。
「俺自身は大した問題じゃないと思ってるんだけどね、」そこまで前置きして言った姿は、本当にかわいそうだった。
くだらない理由(でも本人にとっては大きな問題)で拒絶された後の、杉原のセリフが心に残った。
「俺の名前は李。めちゃめちゃ外国人ぽいから、恥ずかしくて言えなかった。」

冒頭に、こんな言葉が画面に出る。これは原作でも同じだ。
「名前ってなに?バラと呼んでいる花を、別の名前にしてみても美しい香りはそのまま」
これがこの『GO』という作品の全てを語ってると思う。
ホント、名前ってなんなんだろうなー。

金城作品がなぜこんなに映画で映えるか。それは多分セリフが熱いからだと思う。
今作は特にそう思う。
窪塚が話す言葉の全てが、心に響くような気もした。それは単にオレが窪塚ファンだからってことじゃなくて。
圧巻はみんな同じかもしんないけど、ラスト。
「俺は何人だよ!!!」から始まるくだり。ホントに一語一語に揺さぶられた。
そして最後二人は、自由になったように見えた。国籍とかそんなものから解放されたように。

後は、民族学校時代の回想の中で、親友の正一が、日本人学校に行くと言った杉原を殴り「売国奴」呼ばわりした教師に対して放った言葉。
「僕達は国なんか背負ったことありません。」
正直泣いたわ。なんでか分かんないけど、泣いた。

そして窪塚と山崎努の親子は抜群でしたね。
公園での死闘は熱かったねー。その後のやりとりも。
「国境線なんか俺が消してやるよ。」

なんかセリフばっか書いてしまった・・。
でもそれだけ心に残るセリフが多かったってこと。
クドカン脚本でリズムがよく、スピード感もあって全体としてもすげーいい映画だと思います。つーかすげーいい映画なんだよ!


「No soy coreano,ni soy japones,yo soy desarraigado.
(俺は朝鮮人でも、日本人でもない、ただの根無し草だ。)」


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