刑務所の中(02年)

監督 崔洋一
主演 山崎努、香川照之、田口トモロヲ他


花輪和一原作『刑務所の中』の映画化。
主人公のハナワを山崎努が演じている。そして同じ房の四人の受刑者を、香川照之、田口トモロヲ、松重豊、村松利史が演じている。
刑務所での生活を実際に体験してしまった作者が書いた本が原作なもんだから、どんだけだよとか思って、恐る恐る観たわけですが、
なんだかなぁ、刑務所って楽しそうじゃん・・・。
まず、飯がうまそう。というか飯を食ってるみんなの表情がうまそう。オレってこんなにうまそうに飯食ってるかなーとか考えた。
正月の刑務所のご飯って、意外と豪華なのを初めて知った。そしてそれを心から楽しみにしてる受刑者達。うーん。
工場での作業も、忠実に再現しているんだろうけど、結構コミカルで、受刑者が楽しそう・・・。
常に監視されていて、息も抜けないような生活を送っているはずなのに、その隙間隙間で楽しみを見つけて生きている彼らの姿を見て、 自分の先入観みたいなものはすっかり崩れ落ちたわ。人間、どこでだって楽しく生きていけるんだって感じ。
序盤は「ホントかよ。」って感じで観てたんだけど、中盤辺りからは普通に笑いながら、こっちまで楽しく観れた。だって彼らイキイキしすぎでしょ。
まぁ彼らは悪いことしてるんだろうけどね・・・。それは置いておこう、つーかその事自体忘れてしまうくらい、刑務所での生活は魅力的。
ハナワが懲罰房という独居房に放り込まれたときも、彼は結構楽しんでた。てか、「こっちの方がいいじゃない。」とか言ってるし。
内職を苦しいものと思わずに、とにかく楽しんで仕事してる姿は、思わず微笑んでしまうっつーかもうちょいシリアスになれよ!
出演する多くの受刑者に、かなり笑わせてもらいました。
あと笑わせてくれたのは、医官役の椎名桔平。マジ面白かった。出演時間30秒くらいで、作品中一番の笑いを持っていった彼は凄い。

それでも、あ、これは刑務所の中の生活なんだって思い出してしまう瞬間も多かった。時間とか行動とかを厳しく制限されているシーンなんか観るとね。
特に、全体的に明るい空気の流れる作品の中で、窪塚洋介演じる受刑者がポツリと言った言葉は、唯一塀の向こうにいる悲しさを伝えてくれました。
てゆーか窪塚かっけー。

なんか力抜いて、たまに軽く吹きながら笑って観れる作品だったなー。オチとか、メッセージとかそーいうメンドくさいものは求めなくていいと思う。
そんな感じの映画じゃないから、多分。是非観ておくれ。
まぁ、自分が塀の向こうに行かないことを祈って・・・。なんだかんだで行きたくねーYO!


「早く子供が抱きてぇなぁ・・・。」


邦画TOPに戻る
inserted by FC2 system