サトラレ TRIBUTE to a SAD GENIUS(01年)

監督 本広克行
主演 安藤政信、鈴木京香、八千草薫


解離性意思伝播過剰障害。それは自分の心の中で考えていたことが思念波として、周りの人たちに伝わってしまう人のことをいう。 世間には「サトラレ」として認知されている。非常に稀有な存在で、国内に七名しか発見されていない。そしてその全てが例外なく天才であり、 それ故にサトラレは貴重な国家財産として、国家レベルで保護されている。
その七人目が、里見健一(安藤政信)だ。健一は小さいときに飛行機事故で両親を亡くし、祖母(八千草薫)と小さな町に暮らしている。彼もまた天才であり、 現在は地元の病院に外科医として勤務している。ところが、サトラレゆえに手術もさせてもらえないし、ろくな仕事ももらえない。サトラレ保護委員会(特能保全委員会)は、 彼をこのまま医者にさせておくよりも、もう一つの健一の得意な分野である、医薬の研究に従事させようと考える。
そのために送り込まれたのが、精神科医の小松洋子(鈴木京香)だ。彼女は最初は健一を研究のサンプルとしてしか見ていなかったが、共に行動するうちに、 サトラレの持つ悲しみや苦悩を知り、健一に特別な思いを抱くようになる。

とまぁ前半の入りはこんな感じですが、マジでこの話は泣けました。本来サトラレなんてありえない存在なんだけど、さすが本広監督。細かいところまでこだわっているので、 なんかホントにいるんじゃないかって思えてくるから不思議だった。

前半は結構面白いんです。サトラレって、本人にバレないようにしなきゃいけないんだけど、そのために委員会が必死になってるのが面白い。 てゆーか規模でかすぎだろ。大げさだろって感じで笑えます。
あとサトラレの思念波に対して、リアクションしたいんだけど出来ない皆さんの演技も面白い。撮影はすげー大変そうだけどね。

でも中盤以降、特に健一が好きだっためぐみちゃん(内山理名)にふられた辺りから、ずっと切なくなったさ。自分がサトラレって知らないのに、 自分がサトラレだからふられるなんてマジかわいそうだし。
無人島で出会った「一号」もホント切な過ぎて・・・。サトラレの苦悩なんて、実は誰にも分かんないんだよね。

そして後半からラストまで、ばあちゃんを助けるため健一は必死で頑張り、今まで健一を疎んじてきた人たちも応援する。その場面を見てジーンときました。 健一は心の中で「ばあちゃん、頑張れ」って言ってるんだけど、それが全部病院中に聞こえる。もうやべぇよ、泣いちゃうって。
そんな中で、いいなぁって思ったシーンを紹介します。医薬研究所に向かうため車で病院を後にした健一。健一に悔いを残して欲しくない洋子は彼を説得するため、 走ってその車を追う。しかし健一は気付かない。気付いたのは車を運転していたSPのおっさん(小木茂光)だけだった。 今まで、健一が小さいときから周りで監視、保護をしていたおっさんは、健一のために車を止める。多分、おっさんにとって健一はもうすでに家族みたいなものだったんじゃないかなー。 だからおっさんも健一に悔いは残して欲しくなかったんだと思う。そんなおっさんの暖かさが、ちょっと涙腺にきました。まぁ説明が下手だから、ぜひ観て欲しいです。

ラスト、サトラレが周りの人々とごく普通に生活できる社会が出来るんじゃないかって期待を抱かせるような終わり方で、よかったです。
一つだけ、悲しいことはありますが・・・。

そーいやこれ、あとでドラマ化されたんだよね。オダギリジョーだっけ?まぁそれはいいんだけど、確かめぐみ役が小池栄子だったような。ギャグなんだろうね、きっと。
残念すぎて笑えませんけど!マジ映画がよかっただけに、ドラマ化は余計だったなー。小池残念。


「あの子は、声が大きい正直者なだけですから・・。」


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